産学連携を語る

大学におけるリサーチ・ツール
Photo 東北大学客員教授、東京医科歯科大学客員教授、レックスウェル法律特許事務所 代表パートナー弁護士・弁理士 平井昭光先生

大学の知的財産権に関する専門家であられる平井昭光先生に、大学の知的財産権の現状と問題点についてご解説いただくとともに、大学の研究成果への非独占的アクセスについてご意見を伺いました。


大学とはいうまでもなく研究を行い、得た「知」を集積し、その「知」を発表により拡散(dissemination)し、次世代へ伝える(教育)のが使命であり、仕事である。そのような大学は、基本的に特許権や独占権とは無縁のはずである。実際、プラトンがアカデミーという学校を開き、大学が生まれ、最近に至るまで大学が知的財産権の紛争に巻き込まれることは有り得なかった。

しかし、大学が知的財産権と全く縁がなかったかといえば、そんなことはない。例えば、大学の教授が著作を著しこれを出版すれば、当然著作権の恩恵に与っており、大学の名称やロゴも商標権や不正競争防止法によって守られてきたはずである。また、基礎的な発明も多くなされてきた。ただ、そのような従来的な係り方と最近の係り方は大きく異なってきており、それを一言で言えば、大学がより一般的に発明を生み出す場所となっており、かつ、大学が発明を実施する場所になっている、ということである。

社会がイノベーションを望み、このイノベーションのシステム化を図るとき、大学はそのひとつのパーツとなる。そして、発明というものに直接的に関わるポジションに入るのである。したがって、当然のことながら、大学は知的財産権紛争の当事者となることとなる。大学が特許訴訟の原告となり、研究者が特許訴訟の被告となるのである。これも社会が望むことであれば、止むを得ないのであろう。大学が戦略的に特許取得へ走り、大手製薬企業を訴えたCOX2の訴訟などは、そのような近代型「大学」の一つのあり方であり、いずれ近い将来、日本でも見られるようになるかもしれない。

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