 |
 |
|
NIH技術移転オフィスのトップであるDr. Mark L. Rohrbaughに、米国のバイオメディカル分野における技術移転の歴史とNIHの果たした役割等を説明いただくとともに、日本社会に対するメッセージをいただきました。
|
― 本日はお時間をいただきありがとうございます。さて、この10年間に米国のバイオメディカル分野の研究におけるNIHの役割はどのように変化してきたのでしょうか。
Dr. Rohrbaugh:
全体的に見て、米国の技術移転は、大学及び政府研究機関において成熟してきたと思います。大学や政府研究機関から生まれる新しい技術は、バイオテクノロジー業界と医薬品業界の両方にとって重要な初期段階のツールであり、初期段階の開発候補品であるということがますます明らかになってきています。その意味で、産学連携の様式が以前よりも複雑になり、成熟したと言えます。NIHは、産業界と協力し、その後の研究開発のためにこれらの技術を進展させることを目的とし、NIHの方針と法律上の枠組みの範囲内で可能な限り柔軟な形で連携を続けています。
―
この期間にバイオメディカル分野の研究開発がどのように変化したか、その変化にNIHが戦略をどのように適合させたか、その変化がNIHにどのような影響を与えたかという点で実例を1つか2つ挙げていただけますか。
Dr. Rohrbaugh:
1つは、より慎重なNIHの技術移転のプロセスとインフラへの投資でしょう。できるだけ早めに有効な投資を行い、その後は投資を続けるかどうかを判断するために定期的にこれらの投資を見直すようにしました。技術の特許権取得については、どの技術について特許を出願するかを慎重に考えていると思います。そして、特許取得の必要性の高い技術については、特許取得をライセンス付与と技術移転によるインセンティブとして利用するようにしています。科学的に見て良さそうな技術なら何でも特許を取得しようということは最早ありません。これらは初期段階の技術ですので、機会が一回限りではありません。科学と特許手続きが予想通りに進歩したかどうか、そして特許出願審査に資金を費やすことが最終的に技術移転のプロセスにおいて有用であるかどうかを見ながら技術を定期的に評価しています。
―
バイオメディカル分野の研究試料の移転に関するガイドライン策定を提唱したNIHアドバイザリーグループの発足から10年が経過しました。NIHのガイドラインが米国のバイオメディカル分野の研究にどのような影響を与えたとお考えですか。
Dr. Rohrbaugh:
当然、当時は研究試料の移転について議論があり、多くの話し合いが持たれ、その結果これらのガイドラインが誕生したわけです。今では技術移転に関わる大部分の人が、技術移転を機能させる方法としてガイドラインを当然のこととして受けとめていると思います。10年前には若干問題ありと捉えられたことが、今ではほとんどの場合、技術移転プロセスでリサーチツールを上手に利用するためのベストプラクティスとして受け入れられています。