【化学工業日報】
研究ツール情報サイト開設〜ファイザーがNIHと共同で
1400件をDB化し公開 非独占的ライセンシング 産学連携の活性化へ
ファイザー(本社・東京)は米国国立衛生研究所(NIH)と共同で、NIHのリサーチツール情報を提供するサイト「Research Tool Web」(www.research-tool.info)を開設した。ファイザー米国本社を含め欧米製薬企業はリサーチツールの活用が重要な研究戦略の一つとなってきているが、日本は産学間のインフラが整っていない状態。同サイト開設を日本での産学連携活性化を促す起爆剤にする狙いだ。
同サイトはファイザーが運営し、NIHが大学や公的研究機関、および企業に研究目的で提供できる約千四百のリサーチツールをライセンス料およびライセンス条件とともにデータベース(DB)化して公開するもの。検索機能で目的とするツールを探し、NIHにEメールで申し込めば、だれでも非独占的にツールを利用できる。表示価格は、企業への提供価格で、大学や公的研究機関の研究者は原則として無料。
引き続きNIHからの新規情報を追加するとともに、ファイザーが提供可能な化合物、他の研究機関のリサーチツールも紹介していく計画だ。
リサーチツールは、トランスジェニックマウスや細胞株(セルライン)、抗体、化学物質、コンピュータソフトなど生物医学分野の基礎研究などで活用できる研究材料のこと。NIHは一九九九年にNIHが資金提供した研究の成果を他の研究者が広く利用できるように非独占的ライセンスを促進するガイドラインを定めた。欧米では九〇年代後半以降、非独占的ライセンシングは手頃な価格で迅速にツールを使える手段として浸透し、大学や公的研究機関、企業との間で活発に交わされている。一方、日本は日本版バイドール法や独立行政法人化など、リサーチツール活用のための法律は整備されてきたものの、非独占的ライセンスの具体事例や価格に対する相場がないため活用への動きが鈍い。
ファイザーは、グローバルでリサーチツール活用を研究効率化の重要戦略に位置付け、大学・研究機関などとのリサーチツールの提携に世界で年間五千万ドル規模を投じている。日本のファイザーには、日本の大学・研究機関と研究、リサーチツールで提携したいという同社の欧米研究所からの依頼が山積みされている。日本のファイザーは、スピードを備えた契約ベースによる非独占的ライセンシングを普及させるべく、大学でのセミナー開催など理解促進のための活動を展開しており、今回のサイト開設もその一環だ。
NIH技術開発・移転部門のスティーブン・M・ファーガソン・ディレクターは、「われわれのシステムは日本の研究機関にとってベースになるだろう」と活用を促す。日本の大学・研究機関は、このサイトを通じて、どのようなものがリサーチツールになり得るかを知ることができる。所有するリサーチツールのデータベースを作成したり、企業への提供価格を決める際の参考例にもなる。NIHが紹介するツールの七割は特許を持っておらず、ツールによっては特許がなくてもライセンシング可能という実態も把握できる。
長久厚・常務研究開発担当・中央研究所長は「自分たちで作製できる抗体であっても、文献などで掲載されているものは提供を受けた方が早いし、その研究者と研究に関する議論も展開できる」とリサーチツール流通活性化に大きなメリットを見いだしている。「日本のサイエンスに企業がアクセスしやすくなり、ダイナミックに活用できれば、日本への投資も増えるだろう」と期待する。
掲載日:2005年10月7日
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